洗濯


 ある日、俺は『心』を洗濯していた。
 たまには綺麗に洗わなければ、『怒り』や『嫉妬』などの『嫌な思い』とかで汚れるし、『世間の風当たり』が運んでくる『誹謗』や『中傷』なんかの『言葉の暴力』といったものもこびりついてしまう。そういう汚れは早いうちに落としておくに限る。

 俺は自分で言うのも何だが、結構おおらかで、小さいこと、過ぎたことに拘らない性格である。
 まぁ、悪く言えば大雑把、忘れっぽいということになるけれど、とにかく悩みの少ない性格なので、俺の『心』も丸っこくて多少大きめである。
 『心』を洗うのにはただでさえ時間がかかるのに、俺の場合は余計に(と言ってもほんの少しだが)時間がかかってしまうのだ。
 飽きっぽく根気がない、という面も持ち合わせている俺は、途中からいい加減に『心』を洗うようになってしまった。

 だが、デリケートな『心』を適当に洗うのは、やっぱりよくなかったらしい。

 洗濯を終えて乾かした『心』を見て、俺はうーむ、と唸った。
 『心』は綺麗になってはいたが――幾分、縮んでしまっていたのである。
 小さくなってしまった『心』を見て、俺は溜息を吐いた。
 済んでしまったことは仕方が無い。けど、もう少し気をつかって、丁寧にやっときゃよかった・・・

 ――『心』は俺のそんな思いを映して、『後悔』に染まっている。

 俺は再び溜息を吐いた。
 まぁ、もうこんな過ちを繰り返すことはないと思う。
 俺はもう『小心者』になってしまったのだ、これからは、少なくとも今までよりは慎重に物事をすすめるようになるだろう。



頑固な人は柔軟剤を使ったりすると思われます。(677字)




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