Message


 空を切り裂いて降って来たのは、巨大なプレート状の物体だった。
 それは墜落時の衝撃でわずかにへしゃげていたけれども、摩擦熱には完全に耐えており、その表面には何やら文字らしきものが刻まれていた。
 もしやこれは他星の知生体からのメッセージかと、その物体が速やかに結成された調査団に引き渡されたのがおよそ三ヶ月前の話。
 だがそれきり、研究者達は沈黙を続けていた。
 発表されないのは、内容が何か恐ろしいことが書いてあったからではないのか。
 不安に駆られた人々が暴動を起こす寸前まで行き、研究者達はようやくその重い腰を上げ――とうとう、分析結果が明らかとなる日がやってきたのだった。
 重苦しい雰囲気で入って来た男に、好奇と期待、そして不安の視線が集まる。
 彼は、表情と同じく重苦しい声で語り始めた。
「これは・・・まぁ色々言われていた通り、一種我々に宛てたメッセージといえないこともないでしょう・・・」
 おお、と会場がざわめいた。
 期待の視線を一身に集め、彼は頻りにハンカチで汗を拭いながら尚も言葉を続ける。
「あの物体の組成は明らかになっていません・・・金属ではありませんがとても丈夫に出来ています。そしてあの中にほぼ同組成の物質で出来たプレートが包まれていました。そちらの方にも文字が刻まれていまして」
 解読出来たのかという問いに、彼は頷く。
「これからその内容を読み上げます――『これは不幸の手紙です。これと同じ内容の手紙を七日以内に七つの星に送って下さい。でないと恐ろしい事が起こります』――まぁ、これを送って来た星の一日が地球時間のどれくらいに当たるかはわからないんですけれども・・・」
 会場は一転して静まりかえっていた。
 やがて、誰かが手を挙げて質問した。
「送り主は?」
 彼は投げ出すように答えた。
「書いてませんでしたよ」



ネタ古いですよ自分。こういうバカな話は書いてて楽しかったですが。(787字)




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